2026年5月16日土曜日

易融合金(低温はんだ)

ちょっと変化球というか、、、まぁ小ネタである。

森博嗣氏のミステリィ(氏はこのように記載する)小説に、「封印再度」という作品がある。
(ちなみに英語題名は WHO INSIDE 。この小説をこれから読もうという方は、若干ネタバレになるのでこの項目は読み飛ばすことをお勧めする、、、まぁここ見てる人ほとんどいないか。)

「すべてがFになる」という作品が同氏のデビュー作品で、小説のほかアニメ化や、武井咲主演のテレビドラマにもなっているので(見ていないが)知っている方もいるかもしれない。

その「すべてがFになる」を第1巻としてスタートする「S&Mシリーズ」という作品群があり、「封印再度」はその第5巻にあたる。小説のモチーフとして出てくるのが「易融合金」。ビスマス、鉛、錫、カドミウムなどの合金で、融点がかなり低い。組成により60℃くらいで溶ける合金もあるとか。

で、電子工作のほうではそういった性質をもち、はんだ付けにも使用可能な金属を「低温はんだ」と呼ぶことがある。電子部品を基板から外すのがなぜ難しいかというと、基板上の部品は2か所(どころか、ICなどで数十か所)以上ではんだ付けしてあるものがほとんどであり、外すために1か所をコテで溶かしても、別のところを溶かす間に最初のところがすぐ固まってしまう、のが主な理由である。

なので、既存のはんだと一緒に溶かし込むことで融点を下げ、温度が下がっても全体が固まらないように、つまり部品が基板から外しやすくなるように、というのが低温はんだの役割の1つ。

あるいは、表面実装部品のはんだ付けなどで、比較的低温で実装したり、あるいはコテを使わずヒートガンの熱だけで実装したり、という用途にも使われると聞く。

以前にAmazonとかで購入したことがある(PC-9801USの i386SX を外すために使った)が、少量で高価、つまりコスパが悪かった。金属成分の微妙な配合が必要なんじゃないか、、、という思い込みがあって自作など考えていなかったのだが、そこそこの融点(100℃を少し下回るくらい)の合金なら入手が容易な材料だけで自作することもできる、と(YouTubeとかで)知り、自作してみることにした。(やっと本題。。。)

作ってみたのは、易融合金の1種である「ダルセ合金」。融点は96~98℃。組成としては、ビスマス:鉛:スズ、のそれぞれが 2:1:1 の割合の合金である。まず鉛とスズが 1:1 (5:5)というのが都合がよく、これははんだとして普通に販売されている。自分の普段使いは鉛:スズが4:6の「ヤニ入りはんだ」だが、はんだ槽用に棒はんだ(ヤニなし)として5:5のものも容易に入手可能だ。

ビスマスも比較的安価で販売されており、上記の鉛:スズが1:1のはんだに同じ重さのビスマスを加えれば、「ダルセ合金」の成分となる。

実際には、入手したビスマス(上画像の1チップで57グラム)に、それと同量になるように棒はんだを切って入れた形になる。(はんだ槽に入っていたはんだは一時他に移してある)

そんなに高温にしなくても(200℃くらいだったか。。。適当)溶け、合金としては簡単に出来上がった。難しかったのはここからで、普通はんだ付けに使用するような針金状にするなどは到底無理で、

グラファイトの型に流して、上の画像のような粗い棒状にするのが精一杯だった。

なにに使えるか、、、そもそも低温はんだとして使えるものなのか、すらよくわからないが、機会があったら使ってみようと思う。

(久しぶりにSE/30から離れたな。。。)

2026年5月12日火曜日

SE/30の整備(20:サウンド 他)

 前々回(18:ネットワーク)で記載した、外部電源不要(バスパワー電源で動作)するはずのAsanteアダプター、これがうまく動作していない理由はおそらく、電源またはロジックボードの経年劣化で、このアダプターが動作できるだけの電圧がSCSIバスに出ていないのだろう、、、と想像している。

SE/30の整備(9)で、Turbo040を装着しても動作している機体ならば、他機体に比べて少しは電源に余裕があるはず、、、と考え、SE/30の機体のみ入れ替えて、バスパワー仕様のAsanteアダプターのほうを試してみた。結果、、、やはり動作しなかった。

のみならず、この機体ではACアダプター電源仕様のASANTEアダプターも動かず、内蔵の Turbo040 をPDSアダプターごと取り外したら、ACアダプター仕様のものだけは動くようになった。電源の余裕は大差が無かったようで、少しがっかりした。

Turbo040を装着して動作しないのは、PDSスロット経由で電源を余計に食うためなのか、あるいは Turbo040 そのものとの相性が悪いのか、は不明。もともと、常用の68030・50MHzのようなクロックアップではなくCPUそのものが変わっているので、動かないソフトがあっても不思議はないが。

その(Turbo040装着の)機体では別の問題も持ち上がっていて、、、しばらくこの機体を触っていない間に、サウンド機能が一部死んでしまったようで、音が(ほとんど)鳴らなくなっていた。起動時の(ジャーン!)音も、起動したあとの「サウンド」コンパネをいじった時にも音が鳴らない。ただ、音が鳴らない以外の動作は全部正常(のように見える)。また、イヤホン端子からは正常に音が出ており、その音量も正常と思われる。

初期に専門店に相談した際、「音が出ないトラブルは、コンデンサ交換でほとんど解決する」とのアドバイスをもらっており、一度交換したことはあるのだが念のため、と思って、該当しそうなコンデンサをもう一度全交換してみたが、変わらなかった。


イヤホンからの音が正常な場合、オペアンプ「TL071」の電源電圧の確認を勧められており、右の回路図におけるTL071の4番・7番の電圧を確認。

7番は+12v、4番は-12v に接続されているため、この2端子間の電圧は24v前後となるはずだが、なぜか11vほどしかない。テスターの(-)をGNDにして個別に測定してみると、7番は+12v程度で正常だが、4番のほうは+1.8v。時々マイナスに振れたりするが安定しておらず、明らかに異常値。

TL071 オペアンプは入手不可能ではないが、手持ちにあるわけではないので、ジャンクのロジックボードから外して移植してみたが、、、変化はなかった。上の回路図で他に交換してみるパーツといえば、(異常は明らかにマイナス電源側なので)「Q2」位置にあるトランジスタ「2N3906」になる。ただ、SE/30に実装されているのは非常に小さいパッケージ(おそらくだがSOT-23型?)なので、外すのはともかくこれを手ハンダで実装するのはなかなか困難そう。

少々大型だが、昔からなじみのあるTO-92型の2N3906はパーツ店(マルツオンライン)で扱っていたので、一応対になる(オペアンプの+側)2N3904 とともに数個ずつ入手しておいた。


足の配列は、、、一応、以前入手してあったトランジスタテスターで確認。(実は今回初めて実用で使った気がする)

...確認してよかった。トランジスタの平らな面をこちら側にして、左から「E・B・C」となっている。中学生くらいで電子工作覚えたての頃、「エクボ」、つまり左から「E・C・B」と覚えた気がするが、どうもこの2N3904はそれに当てはまらない、例外配列のようだ。データシートを見てもそうなっている。


回路図を再確認して、交換実装。画像左側がもとの形、右側がTO-92型での交換後。


E、B は基板のパッドに直接ハンダ付けできたが、Cのパッドはトランジスタ本体に隠れてしまうため、足を延ばして回路図で導通している TL071 の4番ピンにハンダ付けした。

この状態で、ロジックボードを本体に仮結線して、起動テスト。
「ジャーン!」と、聞きなれた起動時の正常音が鳴って、やったーー! と喜んだのもつかの間、モニタ画面を見て青ざめる。


アナログボードの異常の可能性が高い、「横1本の輝線」。


SE/30の整備(10)で画像を出したことがあるが、ついに「MAC虎ノ巻」のお世話になることになってしまった。これによると、アナログボードのP1、4ピンコネクタのピン1のハンダ割れの可能性がある、と記載がある。


上の画像が4ピンコネクタで、左から順にピン1~4になっている(本来はタテに並んでいるが画像は90度右回転してある)。なんかピン4(一番右)は、明らかに円状のハンダひび割れが確認できると思うが、ピン1(一番左)も怪しいといえば怪しく見えるかな、、、、、

アナログボードにはこれに限らずコネクタがいっぱいあって、


画像で、左の4PはHDD用の電源コネクタ、隣の14Pはロジックボード接続用のコネクタ、右の10Pは電源ユニット接続用コネクタである。また画像の少し上には、ブラウン管の根元につながる、画像出力用と思われるコネクタがある。一応これらのコネクタは全部ハンダ付けしなおしておいた。

これで当面やれることはないはずで、アナログボード・ロジックボードとも、外したついでにホコリ取りやROM・RAM SIMMソケットの清掃(→ポカの伏線)など、できることを行ってから、延長ケーブルを使用して仮組み、起動テスト。

。。。。。「ジャーン!」という正常起動音がしない。かわりに鳴ったのはアルペジオ。(聞いた感じ、A-C♯-E-A、Aメジャーコード。)これはハードウェア的に問題がある時に鳴る、OldMacユーザなら誰しも(聞きたくなくても)聞いたことがある、心が冷える音だ。(泣)

再度ロジックボードを外し、手を入れたオペアンプやらトランジスタやら、その周囲の結線を念入りに行うも、確認できた範囲では異常なし。

SE/30のロジックボードは6層(!)基板が使われているとのことで、パーツ交換で基板を痛めた可能性もあるかも、、、、、と思いつつ、RAM-SIMM の大ポカを発見。

RAMを最小限構成にして確認してみるか、と、SIMMを1つずつはずしていったのだが、


BバンクSIMMのうち1枚が装着不良、ソケットにちゃんと挿さっていない。。。。
そりゃぁ、アルペジオにもなりますわ。(自虐)なんで気づかなかったかな。。。。

挿しなおして、無事に起動。ただ、仮組み状態のままだと、Tuobo040(68040アクセラレイタ)が動作しない。
これはある程度予想はしていて、仮組みではなくちゃんと筐体に収めてみると正常動作する。

理由はおそらく、仮組み状態だと電源もSCSIも延長ケーブルを多用しているため、ケーブル長も長くなるし余計なコネクタも介在するし、ということで、電圧降下やノイズが乗ったりするためかなと思っている。それだけ、動作する/しない、がギリギリの状態なんだろう。

動作するためのマージンがほとんどなくて、他の機体ではそのマージンを使い切ってTurbo040が動作不能なところ、この機体のみ、ギリギリ動作する範囲に留まった、という事なのではないか、と。

なんにせよ、無事に整備ができてよかったとは言えるが、発売されてから三十数年、今は動作していても日々いろいろなところが劣化してくるという事は、これからも覚悟をしておかなければいけないのかもしれない。


つづく。。。?