2026年7月31日金曜日

FM-7の再整備(番外:FM-8でFDCカードを使う)

何度も書いているように自分の初マイコンはFM-8である。

FM-7においては、FDCカードの恩恵でフロッピーディスクが使用できるようになっているが、これはFM-7の32ピン拡張スロットに装着するものであり、FM-8に直接接続はできない。

FM-8には、FM-7と同様、後縁に50ピン拡張バスが装備されている。というかこちらが本家。


上の画像で、左側がFM-7、右側がFM-8の50ピン拡張バスの信号一覧表である。FM-8には、この拡張バスを使って(8088を使用する場合の)拡張RAMを接続することもできるので、そのためとおぼしき信号がいくつかあるが、FM-7側にだけあってFM-8側には存在しない、という信号はない。

ということは、物理的な変換ケーブルを作ってやりさえすれば、50ピン拡張バス経由でFM-7用の拡張カードが使用できるのではなかろうか。

これは以前の記事でも提示した、FM-7における32ピン・50ピンそれぞれの信号表だ。
32ピン側で、AB0・AB1~ という信号が、50ピン側では A0・A1~ と書かれているが、これはいずれもアドレスバスで同じ意味である。DB0・DB1~ とD0・D1~も同じだ(データバス)。

まず、50ピンのコネクタ付きケーブルの一端をバラバラに裂く。


信号の対応を慎重に確認しつつ、裂いたケーブルをコネクタに1本1本ハンダ付けする。


変換ケーブルの出来上がり。右がFM-8本体、左がFM-7用の拡張カードにつながる。


ただし、FM-7用の拡張カードといっても事実上はFDCカード専用になりそうだ。他には、
・「漢字ROMカード」… FM-8本体内に漢字ROMを装着するところが別にある
・「EXAS-FMコンパイラカード」… いわゆる裏RAM必須のカードで、FM-8では使えない
・「RS-232Cカード」… FM-8には標準装備されている
・「FT245高速通信カード」… ソフトがFM-7専用。特に機械語はそのまま使えるとは思えない
という感じ。

FM-8に接続してみる。


本体後縁の拡張バスから変換ケーブルを使ってFDCカードを接続、それを介して(左側に見切れているが)5インチのフロッピーディスクがつながっている。F-BASIC V1.0のシステムディスクで無事起動。CP/Mや、OS-9 も正常起動できた。

やれやれ。。。。

2026年7月26日日曜日

FM-7の再整備(6:FT245 高速通信)

【FT245 高速通信カード】 

現在のFM-7実機の環境で、必要性が最も高い拡張カードはいうまでもなく「FDCカード」である。これが無い(=フロッピーディスクが使えない)と、やれることが大幅に制限される、といっても過言ではないが、それに匹敵する重要なカードが、「FT245 高速通信カード」だ。

https://akizukidenshi.com/catalog/g/g129530/
秋月電子通商等で入手可能なこの「USB-パラレル変換IC」を使用したこのカードは、FM-7上のソフト(BASICソフト+マシン語サブルーチン)と、USBケーブルで接続するWindows機(PC)上のソフト、双方を動作させることで、
・F-BASICやOS-9などの「ディスク1枚」を、FM機←→PC機 でやりとりする
・「ファイル1個単位」で、PC機上の仮想ディスクやRAMディスクとやりとりする
などのことができる。

自分の使い方としてはどちらかというと、ファイル単位よりもディスク単位のほうが使用頻度が高いので、そのためのソフトに非常に恩恵を受けている。


下画像は、FM側、PC側両方でソフトを起動し、FM側 → PC側にディスク1枚分のデータを転送しているところ。(PC側ソフトでの進捗確認中)


このカード、実は原作者は他にいらっしゃるが、カードもソフトも頻繁に改良が繰り返されており、その改良にも Old68fun 様が深く関わっている。改良のかいあって現在ほとんど転送エラーもなく、FM機のディスク環境ほぼそのままが、PC機上のFMエミュレータ(後述)でも再現できるようになっており、基本的な動作はFM実機上でも、PCのエミュレータ上でも、まったく同じ動作が再現可能となっている。

上画像は、「FMから読み込み」ボタンが押され、FM-7に接続された実フロッピーから、PC機にそのディスク内容を転送している途中の様子だが、その「FMから読み込み」ボタンの右下には「DAT→D77,DSK変換」のボタンがあり、このソフトだけで、FMエミュレータ用の「拡張子 .D77 ファイル」まで生成してしまうことが可能だ。


【FMエミュレータ XM7】

レトロパソコンというのは、もう相当に古いからレトロというわけで、、、その実機の入手は非常に困難(ほぼオークション頼り)、メーカーによる修理・メンテナンスも絶望的だ。そのため、実機とほぼ同様の動作をするソフトウェアが、レトロパソコン各機種用にいろいろと作られてきた。それを「エミュレータ」といい、「古いターゲットPC」の動作を、「現行のPC」で模するもの、と言ってほぼ間違いないと思う。

FM機用として最も有名なエミュレータは、おそらく「XM7」というソフト群だと思われる。
・XM7  V1 ……  FM-8/FM-7/FM-77 に対応する。
・XM7  V2 ……  FM-7/FM77AV に対応する。
・XM7  V3 ……  FM-7/FM77AV/FM77AV40EX に対応する。

FM用に限らないが、だいたいのエミュレータというのは、それを動作させるのにはその実機を持っている、という事を建前にしていることがほとんどだ。例えば、エミュレータ(XM7)というソフトそのものはなかばフリーウェア扱いで流通しているが、動作させるためには実機の「ROMイメージ」が必要であり、その「ROMイメージ」はほとんどのフリーウェア作者も公開はしていない。

当方は、FM-8、FM-7、FM-77(L4)、FM77AV、FM77AV40SX、いずれも実機を持っており、実機ROMからROMライタ等でイメージを読み出すことも可能な環境にあるので、一応使用する条件も満たしている、、、、ことになると思う。

ちなみにFM77AV40EXと、同 SXというマシンは、ほぼ同じマシンと考えて差し支えない。

FM77AV40EX。77AVから連なる黒(濃いグレー)を基調としたカラーで、精悍な印象を受ける。


FM77AV40SX。FM-7系列(8ビット機)の最終機。
御影石とも、あるいは一部で「墓石」とも囁かれる、グレーのカラーリング。


BASICなどのファームウェアやブートROMなども、EXとSXはまったく同じものが使われており、1バイトの変更もない。「機種判別バイト」についても同じなので、アプリケーション側からソフトウェア的にEXとSXを区別する方法も存在しない。(と、昔の Oh!FMの記事にあった)

SXのほうがEXよりも後継で、8ビットFM機の最終マシンではあるのだが、SXで省かれたカセットインターフェースがEXにはまだ載っているため、実質的にはEXがFMの最高機種だ、という認識のファンも多い。


これは、FM-7実機で、普段使いのシステムディスクで立ち上げ、FILES(ディスクのファイル一覧表示)をとってみたところである。サラッと示しているが、
・オリジナルでは横40文字であるところを、最初から横80文字で立ち上がるように改良し、
・「FILES」でのファイル一覧表示も、タテ1列表示を4列表示に改良し、
・システムディスク(F-BASIC V3.0 L20)からデモプログラムなど不要ファイルを削除し、
・普段使いの「拡張モニタ」「63C09用ソフト」「FT245転送用ソフト」などを追加
などなど厳選し、ディスク1枚に収めている。一応、そこそこ手がかかっているのだ。


こちらが、その実機フロッピーからPC(Windows)機に、FT245通信カードを介してディスク1枚分のデータを転送、その「.D77」ファイル(エミュレータにおけるディスクイメージの拡張子)を使って XM7 を立ち上げ、同じように FILES をとってみたところ。当然だがまったく同じ内容となっている。

物理的につながっていないプリンタ操作とか、ハードが存在しない「63C09カード」の動作とかは、もちろんエミュレータでは不可能だが、基本的なソフトウェアにおけるXM7のFMエミュレート再現度は素晴らしいもので、ほぼ100%と言っていい。ハードウェア実装の「EXAS-FMコンパイラカード」なども、そのROMイメージを抜き出してエミュレータのあるフォルダに入れれば、それによるコンパイル・実行などもできてしまう位だ。

恩恵が有難いのは実機のフロッピー操作で、とくにディレクトリ整理だとか、ドライブの派手なヘッド移動を伴うような動作は、実機でもちゃんと実行はできるが、とくに5インチドライブで行うとヘッドの動作音がガチャガチャと非常にうるさい!ということもよく起こる。が、エミュレータ上で行う分には、物理的な動きを伴わないため静かこのうえなく、一連の(実機では)うるさい動作がひと通り終わってから、改めてPC機からFM機に、ディスクイメージを書き戻せば(書き戻し時にも、同じFT245通信カードと前述の同じソフトを使用する)、最初から実機で行ったのと同じ結果が得られる。まったくもって有難い。

次記事は、、、なんにしよう。FM-7用の拡張カードを、FM-8で使用する方法、にしてみようか。

つづく。。。



2026年7月23日木曜日

FM-7の再整備(5:スロット増設)

 以前の記事にも書いたように、FM-7の機能拡張というのはほぼ、拡張スロットを使用して増設カードを装着する、という形になる。本体内に3基ある拡張スロットのうち、Z-80CPUカード(または以前の記事にもある63C09カード)専用の40ピン拡張スロットは別として、汎用的に使用できるのは、2基の32ピン拡張スロットだが、現在、市販品や自作品問わずこの拡張スロットに装着するカードを列挙してみると、、、

・FDCカード
・漢字ROMカード
・EXAS-FMコンパイラカード
・FT245高速通信カード
・増設サブシステムカード
・RAMディスクカード
・RS-232Cカード
・RTC(リアルタイムクロック)カード

思いつくだけでも手元にこれだけある。もちろん、全部が必須ではないし、増設サブシステムカードなどは、Oh!FM(1989年8月~)の記事をもとに実験的に作ったものの、動作確認したあとはほぼしまい込んでしまっているが、それでも必須級のカードとして、FDCカード・FT245通信カードはほぼ外せず、できれば漢字ROMカード・EXAS-FMコンパイラカードも常置しておきたい。。。。。となると、絶対的に拡張スロットの数が足りない。

前回記事のFDCカードを作られた Old68fun様は、この問題の解決策も模索して下さっている。

FM-7/8の後部50ピン拡張バスには、その信号表をマニュアルで確認すると、32ピン拡張スロットとだいたい同じような信号が出ている。

細かい説明は省くが(説明できないので省かざるをえないが)、単純にピンの数は50ピン拡張バスのほうが多い、しかし実は信号の種類としては、32ピン拡張スロットのほうにしか出ていない信号がある。それは上の表で赤線を引いた、2.5MHzのクロック信号と、+/-12Vの電源である。
ただその信号も、ごく一部のカードにしか使われておらず、そういった信号(クロック・12V電源)が無くても問題がないカードも多い、とのこと。

Old68fun 様は数年前から、「後部50ピン拡張バスを使った、32ピン拡張スロットの増設」に取り組んでおられ、上記「クロック信号」「12V電源」についても順次回路を付加して、「32ピンスロット完全互換の増設ボード」まで実現させている。

増設ボードは2階建てになっており、1階部分はFM-7との接続コネクタのほか、必要に応じてバッファ回路やクロック信号・電源回路がつき、2階部分は32ピン拡張カード用のコネクタが並ぶ、という構造になっている。この1階基板も、バッファ回路のあるなし、クロック等他回路のあるなし、でバージョンがいくつかあり、どれかのバージョンでは(スロット上の拡張カードが)動作しないが別のバージョンでは正常動作する、というようなことがわりと起こるので、試行錯誤的に選択使用をしている。


上画像、左側は「バッファなし」「クロック回路あり」「12V電源なし」の1階基板。
右側は、「バッファあり」「クロック回路あり」「12V電源回路は未実装(パターンあり)」。

バッファはなしよりもありのほうが、FM-7との接続ケーブルを長くしてもエラーが起きにくい、らしい。ならば全てバッファありのほうがいいのではと思うのだが、バッファがあると今度は何らかの相性なのか、カードの種類により動作に不具合が出るような場合もあり、いちがいには言えないのが難しいところ。現状は左側のバッファなしの1階基板を使用している。(電源回路が必須の拡張カードは使用していない)

2階部分は、基本的に32ピンコネクタが複数並んでいる構造。ただ、その配列には工夫があり、富士通純正のコネクタ(FM-7本体スロットと同じ32ピンレセプタクルコネクタ)が基本だが、拡張カード用のオスコネクタと同じく製造販売中止で入手難のため、その富士通コネクタの代替として、一部、「拡張カード側には汎用の32ピンL字ヘッダ」、基板側にはそれを受ける「ピンソケット」を、排他的に使用できる構造になっている。(富士通コネクタと汎用コネクタのどちらか片方のみ使う形)


上の画像の右側が、純正?というか Old68fun 様オリジナルの2階基板。拡張スロットを4基(基板のバージョンにより差異あり)、装着可能で、そのうち2基は汎用コネクタとの排他使用。

1階・2階基板とも、設計された Old68fun 様の基板をずっと(パーツは当方で実装して)使用していたが、ごく最近、2階部分だけを(例によって設計データを頂いて)小改造させていただき、現在は上画像の左側の構成としている。

実際の拡張カード実装状態が下の画像。


増設スロットをFM-7に装着し、横から見た状態。奥側(画像で右側)から順に、
(1)FDCカード (2)漢字ROMカード (3)EXAS-FMコンパイラカード (4)FT245高速通信カードで、もう1基、拡張スロットに余裕がある。

画像にも赤字で書いたが、スロット数を欲張ったため、2階基板が1階基板より若干はみ出している(画像では左側へはみ出し)。ただ画像を見てのとおり、最下段に安定のためのアクリルベースを自作して「足」としていることと、1階基板の左側にはFM-7と接続するためのコネクタ・ケーブルが出ているので、2階基板のはみ出しはほとんど目立たない。


実際の運用状態はこんな感じである。この「増設」拡張スロット基板を使用する場合は、FM-7本体にもともと装備されている拡張スロットは使用しないほうが無難らしい。もし問題なく併用ができるならもちろんその分スロット数にさらなる余裕が生まれるが、FT245高速通信カードでの通信結果にエラーが出たり、過去の経験では漢字ROMのデータにノイズが混ざったり、コンパイラカードの動作に支障が出たり、といったことが起こり、本体スロットを使わずに増設側のスロットだけを使用したほうが好結果だ、ということが(経験則で)わかっている。

FDCカードの恩恵で、現在、FM-7には常時2台のフロッピーディスクがつながっている。画像左側のように、ドライブ0(起動ドライブ)が3.5インチ、ドライブ1が5インチ。FM-7と、FM-77/77AVまでのディスクドライブは、同じ2D(320KB)ドライブであり、物理的なサイズが違うだけで電気的にはほぼ互換なので、このような3.5インチ/5インチの混在もできる。

FDC(8877A)はもともと4台までのドライブが制御できるので、それぞれのドライブ自体にドライブナンバーをきちんと設定しておけば、さらにケーブルを延長して合計4台のドライブが使用できる。
画像の3.5インチドライブは、富士通FM77AV純正のドライブ(2D=320KBの3.5インチドライブは富士通純正品以外を見たことがない)だが、5インチドライブはもともとNEC PC-8801に内蔵されていたドライブを外し、ジャンパスイッチを適切に(試行錯誤なのでそうとしか言いようがない)設定し、純正ドライブとほぼ同じ使い方ができるようにしてある。F-BASICのシステムディスクだけでなく、OS-9、FLEX、(Z-80カードを使用して)CP/M等のOSも、オリジナルのシステムディスクで正常に起動する。互換性については全く心配していない。

。。。ここでふと思いついて、「漢字ROMカード」だけを、増設スロットから本体スロットのほうに移してみた。ついでに自作の「ドライブNo.入替アダプタ」を、FDCカードとドライブとの間にかませておく。


とりあえずこの環境では、漢字表示のテストプログラムにも異常はみられないようだ。漢字ROMカードを選んだのは、データの行き来がほぼカードからの「出力」のみで、なにかしらのデータ異常(ノイズ混入)などあった場合でも、おそらく結果として現れるのは漢字表示の乱れくらいで、致命的な動作異常にはならないだろう、、、と判断しての事である。

これがコンパイラカードやFT245通信カード等だと、おそらくデータがカードとFM-7本体との間で双方向に飛び交うことになりそうなので、エラーが起きた場合の弊害が大きいのではと、そんな気がする。

過去画像を確認してみたが、漢字表示でエラーが起こる時は、こんな感じの表示になる。


一応「漢字」と読めはするが、ところどころドット抜けが起こっているのがわかる。それも、それぞれの文字で同じ抜けになっているのではなく、微妙に異なった位置のドット抜け。

こうなった場合の拡張カードの構成は、1階基板に「バッファあり」の基板を使い、漢字ROMカードを「FM-7本体スロット」に装着した状態だった。
また、漢字ROMでなく、EXAS-FMコンパイラカードを本体スロットに装着してみた場合は、コンパイラ起動の「EXEC &HFD40」を実行すると、連続BEEP音が鳴って暴走したり、あるいは勝手に再起動がかかったり、異常な挙動を示した、という記録がある。

そのため、とくに「バッファあり」の1階基板を使用する場合は、本体スロットとの併用は考えないほうが良い、という結論になった。たしか、バッファあり基板を使用した場合は、FDCカードも本体スロットでは正常動作しなかったはずである。


左端の「ドライブNo.入替アダプタ」は自作品。ドライブが4台つながっている場合、ドライブNo.は通常、ドライブ自体の設定通りに、「0/1/2/3」と解釈されるのだが、ロータリースイッチの操作で、
「0/1/2/3」→「1/0/3/2」に切替(意図は、ドライブ1の5インチディスクからの起動)
「0/1/2/3」→「2/3/0/1」に切替(増設した5インチ2台を0、1として使用する)
のように、簡便に切り替えられるようになる。ドライブNo.の変更は通常、5インチドライブは内部基板のジャンパピンの付け替え、3.5インチでもドライブ裏側のスライドスイッチの切り替えが必要で、とくにドライブが(自作簡易タイプとはいえ)ケース内に組み込まれた状態だと非常に面倒だった。このアダプタを作ったことでそれもかなり楽になった。

ちなみにこのスイッチ切替は、ドライブの読み書き中でなければ、通電状態で切替を行ってもほぼ問題はない。システムが起動してからでも動的に切り替えることができる。(が、誉められた事ではないかもしれない。。。汗)


次の記事は、FDCと同じくらい自分の環境で必須となっている、FT245高速通信カード、およびFM-7系列のエミュレータ「XM7」に関する記事になりそう。

つづく。。。

2026年7月15日水曜日

FM-7の再整備(4:FDCカード)

 FM-8、FM-7のように、本体にFDDを内蔵していないマシンは、ディスクを使用するためには当然ながら接続用のインターフェースと、「FM対応」のディスクドライブユニットを用意する必要がある。また、接続経路のどこかに、FDC(フロッピーディスクコントローラー。FMシリーズの場合だと富士通 8877Aなど)が存在する必要がある。

FM-7の場合、フロッピーディスクの「ドライブユニット」内に、FDCチップが載った基板が存在し、同じユニット内にたいてい2台のドライブが内蔵されている。

FM-7本体の拡張スロットに装着するカードは、バスバッファ等だけが載った「インターフェース(IF)カード」であり、そこにはFDCチップは載っていない。つまり、

  【FM-7本体】              【フロッピードライブユニット
   IFカード   
----------   FDCチップの載った基板
  (FDCなし)                + ディスクドライブ2台

このようになっている。FM-77や、FM77AVのように、もともと本体内にディスクを内蔵している機種になると、本体内にFDCチップを内蔵したうえで3.5インチFDDが2台つながっている。そのため、3-4台目としてドライブを増設したい場合、なにも考えずに内蔵FDDから34ピンケーブルを延長して(ドライブ番号はきちんと設定して)接続すれば、動作する。


また、たとえば無印(FDDなし)のPC-8801の場合だと、同じくドライブユニット側にFDCチップが載っているものの、それはNEC μPD765等、富士通8877Aとは異なるFDCである。このことが、8801用のFDユニットを直接FM-7のIFカードにつないでも動作しない(FDCが異なる以上、その制御信号もまったく違うはずなので)、最も大きな理由となっている。(他、コネクタやケーブルの違いなどはもちろんあるが、それはどちらかというとささいな問題に過ぎない)

ということは、、、、FDCの載っていない、純正FD-IFカードのかわりに、FDCチップの載ったIFカードが用意できれば、FDCの載っていないドライブ単体をFM-7に接続できることになる。

つまり、PC-8801やシャープX1などでは、FDCの違いはともかくドライブ単体としてはFM用のものと大差ないドライブが載っているので、それらのパソコン本体、あるいは外付けフロッピードライブユニットなどからドライブ単体を取り出し、それを富士通のFDCである8877Aでコントロールできるようにすれば、FM-7でも使えるのではないか。

もともとこのような用途(8801のような2DドライブをFM-7に接続する)ではなく、PC(DOS/V機やWindows機)用の3.5インチFDD(2HD/2DD)をFM-7に接続して、2Dドライブとして使用する、という目的で、FM-7用のFDC付きIFカードを作られていた方がおり、その方がヤフオクでそのカード(以下、FDCカード)を出品されていた。

(許可を得たので、その方のブログURLとニックネームを記載する。
 ブログURL(リンク埋込)は 「 6809/6800 と FLEX 」 ニックネームは「Old68fun」様)

その出品物が、以下の画像のカードである。


中央の40ピンLSIが富士通のFDCチップ、8877Aである。「FM対応」とされるFDユニット内にはたいていこれか、その派生バージョンのFDCが載っている。このFDCチップがドライブユニット側ではなくインターフェースカード内に組み込まれていることで、このカードに直接、2D(320KB)のフロッピードライブが接続できることになる。

Old68fun 様はもともと、このFDCカードに2HD/2DDのドライブ(1トラックの幅が2Dドライブの1/2)を接続することを想定していたようなので、FM-7からのステップ信号でドライブの動作に支障がないよう、マイコン(ATtiny85)を使ってその制御を行っていた。しかし、最初から2Dドライブだけを使用するつもりであればそのような制御は不要であり、ATtiny85を挿すはずの8ピンソケット(基板右上)はあいたままである。


この青基板バージョンも実はまったく同じものである。こちらは、Old68fun 様に許可を得て設計データを見せていただき、自分で基板を発注してパーツも自分で実装したものだ。ディスクが使えないとFM-7はどうしようもないので、万一の予備としてレプリカを作らせていただいた。

このカードに接続するためのドライブだが、最初はFM77AVの増設用として使っていた5インチ2Dドライブを流用していた。が、いろいろ試行錯誤しているうちに、かなり広い範囲の2Dドライブが接続できることがわかり、いろいろとジャンク機からドライブを外して収集しているうちに、相当な数の2Dドライブがたまってしまった。

主に、TEACの「FD-55」と頭につくシリーズは、若干のジャンパ設定に気をつければそのままつながることが多い。当方にあるドライブをちょっと列挙しただけでも、
FD-55BV-21-U、FD-55B-06-U、FD-55BV-23、などはそのままFM用として使用できた。
FD-53B-02-U、FD-55B なども若干の細工(パターンカット)で問題なく使えることがわかっている。

ディスクが使える(=DISK-BASICやOS-9などの基本OSが使える)ようになって初めて、FM-7がいろいろと実験的に使えるようになったわけで、まったくもって有難い。

(このことがご縁になって、Old68fun 様とは今に至るまで仲良くさせていただいている。)

(つづく。。。)

2026年7月14日火曜日

FM-7の再整備(3:昔話)

 前回記事のフロッピーディスクドライブ(FDD)は、FM-8、FM-7に接続して使用していたが、おそらく自分の使用パソコンがNECの9801シリーズに移ったあたりで、本体とともに処分していると思う。

(・・・こう書くと、愛着のあったマシンをあっさり捨て去っているように思われるかもしれないが、プラットフォームが新しくなって、それまでのハード・ソフトも保持続けるというのはなかなか難しく、学生という当時の状況では仕方がなかった。)

それからのパソコン遍歴をざっと書くと、、、FMシリーズの後はNEC9801シリーズを何台か使い、その後はSE/30を皮切りにMacintoshシリーズをかなり長い間使用した。それから、仕事上 MS Office を使わざるを得なくなり、最初はMac版Officeを使っていたが、フォントや印刷時の余白などの微妙な違いから、デファクトスタンダードのWindows機への移行を余儀なくされ、、、現在に至る。過去に使用してきたマシンは、(SE/30など)いくつかはそのまま持っていたものもあり、FMシリーズや98(現有は9801USのみ)など、あとになっていくつか中古入手したものもある。


そんなわけで、、、今から10年ほど前、FMシリーズを中古入手した際にFDDも再入手した。FM-8(8088カード装備)でCP/M(86)が動作している画像があるので、少なくともその時にはこのドライブは正常動作していた事になる。

右画像のモニタ(まだブラウン管である。このブラウン管モニタも今では動かない)に表示されているのが、FM-8(画像下端)で動いているCP/M(86)の起動画面。

モニタとFM-8の間に見えるキーボードは、画面外のFM77AVにつながっている。

この当時所持していたFM機はこの2台のほか、おそらくFM-7も入手してあったはず。だが、FM77AVというマシンは、FDDが3.5インチであることを除けばFM-7の上位互換なので、ほぼこれがあればこと足り、FM-7はあってもしまい込んでいたものと思われる。


その後、FMシリーズは長く死蔵状態が続いていたが、メール履歴によるとおそらく2021年ごろにFM熱が再々燃。たまには動作確認でもしてみるか、と、FM-8の電源を入れてみるが、フロッピーディスクが動作しない。ディスクでシステムが供給されているOSのCP/MやOS-9のみならず、標準のDISK-BASIC(F-BASIC ディスク版)も動作しない。

・・・・・・ 困った。ディスクドライブが動かないということは、FM-8だけでなくFM-7でも、DISK-BASICほか、基幹システムの一切が動作しないということ。つまり、何もできないのとほとんど同義。本体のみで(つまり、補助記憶装置はカセットテープのみ)動かすことはできるが、いまさらそういう環境にも戻りたくない。

もう実務で使うこともない趣味のマシンたちではあるが、正常に起動しないという状況は放っておきたくない。ネットで調べたり、ディスクドライブの配線や電源電圧を確認してみたり、いろいろとやってはみたが、当時は(まぁ今でもだが)ろくな知識もなく、やれることには限界があった。

無謀にも、出品画像で比較的良さげに見えるFM用のドライブユニットを、ヤフオクでそれなりのいい値段で入手したりもしてみた。が、「接続するマシンがなく、動作確認はとれていません。」というような出品はまず動かないことがほとんどであり、わずかな期待はしたがやはり動かなかった。

ほぼ手詰まり状態の中、とあるヤフオク出品(と、その出品者)が、いろいろと事態を打開してくれることになる。

(つづく。。。)


2026年7月13日月曜日

FM-7の再整備(2:記憶装置)

 今やフロッピーディスクといえば、そのドライブのみならず記録メディアすらなかなか入手しづらくなっており、すでにその役割を終えつつあるレガシーデバイスの1つである。

今となってはそうなってしまったデバイスも、FM-8/7が活躍していた当時としては「最新式」であり、非常に高価だったため、一般ユーザーレベルで使用するにはハードルが高かった。

その時期、外部記憶装置として最もポピュラーだったものはカセットテープであり、富士通からも純正品としての「FMデータレコーダ」という周辺機器が発売されていた。(画像はネットから探してきたもの)

これはOEM品であり、実際に作って富士通に供給していたのはサンヨーである。サンヨーからもロゴ違いのまったく同じ製品が出ていて、そちらのほうが若干安かったので、自分はそのサンヨー製のものを使っていた記憶がある。

当時の自分の使い方として、まずFM-8の電源を入れる(= F-BASICが立ち上がる)と、まず「拡張モニタ」をカセットテープから読み込ませる、というのがルーティンだった。

モニタというのは、16進数で表される機械語をマイコンで読み書きしたり、プログラムを実行したりするためのシステムプログラムである。F-BASICにもともと備わっているモニタは使い勝手が悪かったので、当時の月刊誌(I/Oなど)に掲載されていた「拡張モニタ」を入力し、それをカセットテープにプログラムとして保存(セーブ)しておき、必要に応じて読み込ませる(ロード)。時間もかかり面倒だが、外部からプログラムを読み込む方法としては当時はこういう使い方が当たり前だった。というか、それしか方法がなかった。

市販のゲームや少々のアプリケーションプログラムも、ほぼカセットテープのメディアで供給されていたものが多かったと思う。

大学生の身でフロッピーディスクを導入するのは金銭的にほぼ無理だったので、ある程度安いフロッピーディスク装置が発売されるまではこういう状態が続いていた。


その、「ある程度安いフロッピーディスク装置」というのが下の画像のものである。


画像左側(これもネットから拾った)が、シングルドライブの富士通MB27607。右側(こちらは自前画像)は、それに2台目のドライブを接続した状態である。(MB27607+MB27608)

シングルドライブでも、定価でやっと10万円を切った、という価格であったが、非常に無理をすれば手が届かない事もない、というお値段。非常に無理をして購入した。当然シングル。当時はディスケット(フロッピーディスクのメディア。「ディスケット」はIBMの登録商標。)も安くなく、1枚1枚とても大事に使っていた。と思う。

フロッピーディスク装置には思い入れが強いので、ついつい思い出話のようになってしまう。

(つづく。。。)

2026年7月12日日曜日

FM-7の再整備(1)

 かーなーりー久しぶりの記事になる。。。

以前の記事にも書いた通り、私の初パソコンは富士通のFM-8である。愛着もあり、後継機のFM-7が出てきた後も、高速化改造などしてそれなりに使い倒した。当時としては非常に高価だったフロッピーディスク(以下FD)ユニットも購入し、DISC-BASICを基幹として使用していた。

ただ、改造を繰り返して再起不能の故障を起こしたり、(FM-7系列に比べて)アプリケーションソフトの不足から、結局はFM-7に乗り換え、その3.5インチドライブ版のようなFM-77を、9801系列を使うことになるまで使っていた。

FM-7は、前身のFM-8に比べて、比較的機能拡張が容易なように設計されていた。具体的には、本体上部の比較的アクセスしやすい所に、汎用の32ピン拡張スロットが2基、Z-80カード専用の40ピン拡張スロットが1基、用意されていた。


また、上記画像にもあるが、本体後部には50ピンの拡張バスがあり、これはFM-8とほぼ共通仕様のため、このバス経由で使っていたFM-8用FDユニットは、そのままFM-7でも使うことができた。

FM-7は、ホビー用途としての意識が強い設計だったのか、FM-8に比べて、動作速度や、グラフィック面・サウンド面ではかなり強化されているが、反面、不要と判断されて削ぎ落とされた機能もある。

「RS-232Cインターフェース」がその筆頭で、FM-8では本体後面にあったものが、FM-7では汎用拡張スロットにIFカードを装着して機能を実装するようになっている。

また、いわゆる「漢字ROM」も、FM-8では本体をあけて、内部のICソケットにユーザーが直接マスクROMを挿入して実装する方式だったのが、FM-7ではこれも拡張スロットに漢字ROMカードを装着する仕様になった。実装の難易度としては下がったと言える。

本体の機能を必要最小限とし、その他に必要な機能はユーザーごとに拡張カードを選択して実装する、という方式は合理的と言えるが、状況によっては拡張カードを装着するスロットの不足に悩まされることにもなった。

すでに流行の兆しが見えていた、インターネットの前身とも言える、いわゆる「パソコン通信」を行う場合、まず通信を行うための「RS-232C インターフェースカード」は必須、 曲がりなりにも日本語を扱うための「漢字ROMカード」も欲しい、となるとすでにその2つで本体の拡張スロットは埋まってしまう。

FDによるDISK-BASICのシステムも、一度使うとその快適さからカセットベースのシステムに戻ることが難しいので、私はFM-8の時に使っていた、本体後面の拡張バスに接続する方式のFDインターフェースカードをそのままFM-7環境でも流用して使っていた。もちろん、本体拡張スロット用にFDのインターフェースカードも用意されていたが、上記のように用途によってはすでに空きスロットが無いため、そのようにせざるを得なかった。

ほどなくして私は、3.5インチFDD仕様のFM-7、つまり「FM-77」に移行したため、スロットの不足からは一応開放された状態になっていた。

FM-77は、3.5インチFDDを本体内に2台内蔵、漢字ROM機能も内蔵されていた。つまりFM-7では拡張カード等を使わざるを得なかったこれらの機能は拡張スロットを使う必要がなくなった。RS-232C IFは拡張カードが必要だったが、これをスロットに内蔵してももう1基スロットがあいていた。

FM-77については、400ラインセットとか、F-BASIC v3.5 とか、書きたい記事がいろいろあるが、それはまたの機会とし、この記事では「FM-7」に絞って記載することにする。主に、

・富士通純正「ではない」FDDユニットを、FM-7でどのように使うか
・不足ぎみの拡張スロットをどのように補うか

ということになろうかと思う。  (つづく。。。)

2026年6月1日月曜日

スーパースワン D101S その後

 【スーパースワン 低域量感調整(パイプ音の改善)】 2020.11/3

音工房ZからいただいたPDFファイルを参考に、気になる中低域のパイプ音調整を試みた。

スーパースワンの低音は、ユニット背面から内部音道を通ってきて最後に背面の開口部から放射されるのだが、その最終段階で半分強、せき止めるような感じになる。これは「BHBS」の手法だ。

BHBS:バックロードホーン・バスレフ。バックロードホーンの最終開口部を適切に「絞る」ことで、中低域のパイプ音を抑え込み、かつローエンドも伸ばすことを狙った、音工房Zお得意のエンクロージャ方式だ。バックロードホーンとバスレフのいいとこ取りのような感じになる。

最終音道の奥行110mmのうち半分強を塞ぐのが良いようだが、あまり塞ぎすぎるとかえって低音が出なくなる。ホームセンターの工作室で、55mm、65mm、75mmの板を4枚ずつカットしてもらった。余りがちょうど45mmになったので、10mm刻みで45mm~75mmの効果を試そうと思えば試せるが、、まぁあまり変えることもないかも。

ただ、若干の欠点はあっても「オリジナルのスーパースワン」の状態に戻せるようにしておきたいのと、板の交換もできるようにはしておきたいので、塞ぎ板のほうには鬼目ナットを埋め込み(このため、木口が弱いベニヤを避けて板厚18mmの集成材にしてある)、本体には通し穴をあけて、六角穴付ボルトで締めた。けっこうしっかり締まったので、接着したのと同程度の効果にはなるだろう。他の板材にも同位置に鬼目ナットの埋め込みをしておけば交換することもできるし、オリジナルに戻すなら外せる。(穴が気になればボルト・ナットで止めればいい)

推奨の範囲内で65mmを採用したが、今のところ「効果絶大」と感じている。



後日、ボディ天板の穴から砂粒状鉛を15kg、左右それぞれ7.5kgに分けて、ビニール袋に入れた状態で詰め込んだ。長岡氏の著書にも、「この鉛はパーツのひとつとして考えて欲しい。」との記述もあるからだ。これで本当に完成である。

スーパースワン D101S 塗装(3)

正面の塗装が完了。塗装後の磨きにはなんとなくキンチョーの「サッサ」を使ってみたら適当なツヤも出て良い感じだった。


鬼目ナット部分のマスキングシールをくり抜くのが地味に面倒だな....と思っていたが、以前革細工の時に持っていたポンチがちょうど良いサイズで、印鑑を押すような感じで簡単に塗膜が抜けた。

内部にクイックルワイパー製の簡易吸音材を両面テープ止めし(まずいとなれば外すのも簡単)、背面にはターミナルを取り付ける。いよいよ完成へ。 


フォステクスの10cmフルレンジユニット、FE108EΣを取り付ける。ユニットには一応木ねじが付属してはいるのだが、鬼目ナットを埋め込んでいるので、別途用意した六角穴付きボルト(M4x12mm)を使用。ホームセンター等で売ってるのは銀色のボルトしかなく、似合わないと思っていたので、わざわざM4x12mmのブラックステンレス製のボルトを注文してあった。見栄え大事。
やっと完成!!(でも深夜のため音出しできず。明日まで我慢!)

完成と書いたが、、、日中の光で見るとあまりにも色ムラの許せない所が、、、

結局ボディ天板にもうひと塗りして完成とした。 音出しの感想は…これが良くも悪くもバックロードホーンなのかな、と。中低音に独特の共鳴があり、ソースによっては耳につく。 鳴らし込むと(エージング)改善してくるとは、とくにスワンの場合よく聞くが。 包み込まれるような音場感はさすがに素敵だと思う。とにかく、憧憬のあった「スワンが作れた!」ってことで満足。

スーパースワンを、故 長岡鉄男氏が設計されたのは1992年、もう30年以上前になる。これは、当時フォステクスから限定販売されていた10cmフルレンジ、FE108Superを使用するのを大前提として設計されたエンクロージャ(箱)だ。
箱と、それに装着するスピーカーユニットには密接な関係があり、相性の悪いユニットだと箱の能力が活かせない、ということが起こる。スーパースワンはバックロードホーンの一種であり、当時の限定ユニットは入手できなくても、特性が似ている、少なくともバックロードホーン用として作られたユニットということで、今回はFE108 EΣを選択した。
スワン系の特徴としては、包み込むような音場感が素晴らしいこと、10cmユニットのスピーカーとしては非常に低音がよく出ること。欠点としてよく言われるのが、中低域のボーボーというパイプ共鳴音。今回作ったスワンでもやはりこの共鳴音があり、クラシック、とくに弦楽器の再生では好ましい響きとして耳に届くが、ポップス系ではバスドラの響きが強調され過ぎて不快にも感じる。
スワン系は昔から非常に多くの人が作っているので、その欠点もよく知られている。自分がスピーカー自作にはまったきっかけの「音工房Z」でも、スワンの低域量感調整キット、なるものを販売していた時期があった。ものとしては単なるベニヤ板であり、スワンの背面、最終開口部の音道を狭く絞ることによってパイプ共鳴音が減らせるという評判。
問い合わせたところ、「在庫なし、おそらくこのまま絶版予定」とのことだった。が、おそらくは商品に付属するであろう解説PDFファイルを頂くことができ、「参考にしてご自身でベニヤを付けられれば調整可能です」との連絡をいただいた。
PDFを参考に適当と思われる寸法でベニヤをクランプで仮止めしてみると、劇的な効果あり。
最終的にはネジ止めすると思うが、音道をどれくらい絞ったら一番効果が高いのか、数種類の板サイズで試してみようと思う。

セッティングについて追記する。鉄筋コンクリート部屋、しかも部屋の隅というのは最も低音がこもりやすい環境であり、隅から離す、スピーカーの高さをとる(インシュレータ等を使用して床から離す)、等をすることによって過度な低音というのは相当に軽減される。左の写真のような「足」を6個作り、左右のスワンそれぞれの前端に2個、後端に1個置いた(このような3点支持は長岡氏も推奨している)。試行錯誤でこのセッティングに落ち着いてくるまでの間、当然スピーカーのエージングも進んでいるわけで、製作直後に比べて見違える(聴き違える?)ほど聴きやすい音になってきている。





スーパースワン D101S 塗装(2)

・次に背面。非常に苦労している。凹凸が多めなのと、何より背面にはバックロードの開口部がある。この内面をハケ塗りするのが予想以上に大変だった。ハケでムラなく塗るのは非常に難しく、ここを完璧に塗装している人は、接着部分をマスキングしてあらかじめ塗装してから箱組みをしていることが多い。
だが、板の向きを変えたり裏返したりして誤差修正しながら箱組みをしている自分にはその方法は取りにくい。
ただ、底面程度の濃さまで塗り重ねをすることによってだいぶムラは目立たなくなるはずなので、できるだけやすりがけをしながら少しでも均一になるように努力はする。(まぁ、使ってる時には全く見えない部分だが。) 



最初に塗った底面を下にして、上面を塗装終了。このように「塗った面を下にする」というのがとても心配。以前の作で、微妙に塗装面に汚れが付着したり、逆に部分的に塗膜がはがれてきたりすることがあったが、、一応大丈夫だった。
まぁ、底面は何かあっても目に入らないし。

横にして、片側の側面を塗装。色はこんなもんだろう。
これをひっくり返して、今塗った面を下にして反対側の側面を塗る時が怖いが。
「ユニット周辺にクイックルワイパーのような、軽い吸音材を入れると良い」という先人の知恵があって用意しているんだが、これを広げて下に敷いてやると塗膜保護によさそうな気もするので、やってみるつもり。


クイックルワイパーは良かった。滑りがよく、重量がかかってもくっついたりすることがない。塗装後も全く大丈夫だった。
さてこれで残りの面は正面だけになった。ここでの注意はやはりバッフル部分。スピーカーユニットを取り付けるための鬼目ナットが埋め込んであるので、塗料が入り込むとネジ穴が埋まって取り付け不能に陥る。
100均で買った円形マスキングシールを鬼目ナットの上に貼る。大きさピッタリ。あとで剥がすつもりはなく、この上からどんどん塗装してしまう。薄いシールなので、ユニット取り付け時にデザインナイフ等で円形にくり抜いて取り付ければ良い。











スーパースワン D101S 塗装(1)

 箱の完成後、すぐに塗装にかかる。今回は箱の凹凸が複雑なのでオイルフィニッシュにしようかと当初は考えていた。が、余り板で試し塗装をしてみたところ、塗装というよりもなんだか土で汚れたような感じになってしまい、断念。シナベニヤ表面との相性が悪いのかもしれない。結局、過去作で下手なりにある程度慣れている、水性ウレタンニスで塗装することにした。

・ひっくり返して底面から始める。最初に塗装をした面は、あとで他面を塗装している時に下向きになることがあるので汚れやすい。一番目立たない底面、次に背面と塗装していき、一番最後に目立つ前面を塗る、というのがこれまでのささやかな学習結果だ。1000番のペーパーでできるだけツルツルになるように研磨後、水性サンディングシーラーを3回塗り。

・その後、まずはツヤありウォルナット色を3回塗り、
・次にツヤ消しウォルナットも3回塗り。
・最終的には黒に近い、かなり濃いツヤ消しウォルナット色にしたい。ウォルナットだけの塗り重ねだと回数の割にあまり濃くならないので、「ツヤ消しウォルナット+ツヤ消しブラック」の混合塗装とした。まだ濃くしたい。



・最終的に色はこの底面程度の濃さを基準にすることに。他面を塗る際に若干の差異は出るだろうが、まぁ同じように見えればいいかなと。

2026年5月31日日曜日

スーパースワン D101S の製作(6)

 ・休日。午前中はひたすら研磨。サンドペーパー、研磨シートで600番まで磨いた。まぁ塗装前にはまだ磨くが。

・上部(頭・ネック)と下部(ボディ)を接着してしまうともう内部には一切手が入れられない。その前に、設計者・長岡鉄男氏の著書にある通り、底板にフェルトの吸音材を敷く。すでに音道の板が入っているのでなかなか難しいが、寸法を測ってサイズにフェルトを用意しておき、接着剤を上から滴下し、吸音材を置いて手や棒を使って何とか位置を整える。





・木工の最終工程。前面補強板を接着する。エンピツでセンターをチェックした時に気づいたのだが、キャビネット全体のカドを落とす(若干のアールをつける)時、誤ってこの補強板を付けるところもアールをつけてしまっていた。なので前板と補強板との間に、アールの分だけ少しスキマができてしまう。
・むぅ.....仕方ない。木工パテで埋めよう。
これで木工の工程はほぼ終わり、と言ってもいいのだが。


・せっかくなのでやっぱりバッフルの加工をする。スワンを含むバックロードホーンは、「中高音はユニット前面からの音を直接聴く」「低音はユニット背面からの音をバックロードを通して聴く」ので、とくにバックロード向きのスピーカーはユニット背面に強力な(大きな)マグネットが付いていることもあり、バッフル板の厚みで背面への音放射がさえぎられ気味になる。そのため写真のように、取付ナット以外の部分を、(もちろんユニット周囲にスキマができたりしない範囲で)花弁状に削り込む、ということがよく行われる。
判ってるなら最初からやっとけよ、、と。板の状態で加工しといたほうがはるかに楽なのに。箱になってからやるから苦労する(自虐)。
もちろんネックを通ってボディに木くずが入らないように養生テープ使っている。


・これでやっと木工は完成。ユニットとターミナルつければ音が出せる。なんか凹凸が見えるが、鬼目ナット周囲のわずかな板ハガレなどはパテ埋め・研磨している。
が、、、ユニットつける前に塗装しなければ。まだまだ続く。



次回より塗装工程。


スーパースワン D101S の製作(5)

 雨の間は外での工具使用ができず。

・その間は、、当初そこまでやるつもりがなかった、内部音道の整理をすることにした。
バックロードホーンは、そのボディ内部に、徐々に断面積が広がる音道が折り畳まれている。木材で折り畳み構造を作る関係上カドが多いのだが、できれば直角を避けたほうが良いと言われている。
音道整理と書いたが、要はその直角を減らすこと。凸の直角は以前作った道具などでカドを丸める(アールをつける)。凹の直角はそのカドに小さな直角三角形断面の木材を追加して角度を和らげる。
どれだけ効果があるのかはわからないが、、

・そして完成間近になって大問題が発覚。実は以前自分で切り出したベニヤは、同じように表面材にシナが張られた板でも、内部構造が違う「ランバーコア」という名の板だった。使用した他のシナベニヤ材に比べて軽く、若干衝撃に弱い。正直「スピーカー用の材として適しているとは言い難い」という材料だったのだ。切断面が若干違うな、、と思った時点でもっとよく確認・検討するべきだった....と、かなり落ち込んだ。
・そのランバーコア材は、頭とボディをつなぐ「ネック」に使っている。どうしようか非常に迷ったが、ネックのまわりをシナベニヤ(薄めだが)で全部覆い、補強をすることにした。
オリジナルに比べてわずかにネックが太くはなるが、ぎりぎり不自然ではない、、と思う。
左右で外観が違うのは嫌なので、ランバーコアを使っていないもう片方にも同じ補強を施している。



ネック補強前後の比較写真。


スーパースワン D101S の製作(4)

 ・ネックの上には当然顔(スピーカーユニット部)が乗るわけだが、顔の底板もスペーサーをかませて位置をキッチリ決める。これも内部に隠れて見えなくなる部分なのでネジを併用してしっかり固定した。



・顔の側板の位置決めに予想以上に手間取る。パーツは小さいのだが微妙に直角が出ていないとかで、一見側板がちゃんと立ち上がっているように見えても天板を乗せると1mmほどの誤差があったりとか。総合的にもっとも誤差を平均化というか、分散していき、トリマー・サンダー等で可能な限り段差をなくす。
・側板と底板の境目には、誤差修正と補強のため、丸棒を1/4にしたものを寸法に切って入れ込んだ。この細さなら空気室に対する悪影響もほぼないだろう。


・全体の形ができてきた。ボディ本体は天板・底板とはまだ接着していない。内部に吸音材を入れるかどうか。天板を接着してしまうともう出し入れはできないので、もう少し検討しつつ、やれるところは面取り・研磨に入るか。。。
そろそろ、塗装をどうするかも検討しないと。

・ボディ底板の接着。接着面積が多く最初に板を置く位置がズレてしまうと修正は困難を極めるので、位置決めは慎重に慎重を重ねる。自作派諸兄のやり方に自分なりの工夫を加えた。
まず接着位置を慎重に決定したら、その状態で四隅に仮クギを打つ。底板を貫通してボディにも少し食い込むくらい。

・いったん仮クギを抜き、底板を外すと、四隅にクギ跡が残っている。そこに再度仮クギを中ほどまで打ち込む(位置決め穴を明確にするため)。


・再度仮クギを抜き、最初の底板に仮クギを戻し、5mm程度先端が出る状態にしておく。


・この状態でボディに接着剤を塗布し、仮クギの刺さった底板を、ボディに慎重に置く。四隅に位置決め穴があいているので、そこへ仮クギの先端を合わせる。
位置がしっかり決まったらズレないように押さえつけ、四隅の仮クギを最後まで打ち込む。クランプでしっかり締め付け、圧をかける。
この仮クギによる位置決めのおかげで、クランプで強圧をかけてもズレることなく圧がかかるという訳だ。(仮クギは接着後抜く)